【カラータイプⓇ×教養】源氏物語其の弐拾参~薫の君~ 2020/4/25

こんにちは。

教養シリーズ担当の武田みはるです。

2年前から連載している当シリーズも23回目、いよいよ陰の主人公の登場です。(笑)

源氏物語の主人公は光源氏ですが、

光源氏が亡くなった後の【宇治十帖】は息子の薫の君が主人公になります。

薫は世間一般には光源氏と女三宮の間の子となっていますが、

実は柏木と女三宮との不義の子です。

 

 

 

 

 

 

薫の君

出典元:あさきゆめみし絵巻下

自分の出自を知らぬまでも、若くして出家した母の姿からなんとなく陰を感じて育った薫。

年頃の青年なのに、イマドキのことに夢中にならない一歩引いた冷めた男です。

厭世的で仏道に心を寄せる、現代なら絶対にモテないだろうなと思わせる青年。

ただ、生まれながらにして身体からいい香りが漂う特性を持っており、

それゆえに【薫の君】と呼ばれるのです。

身体から芳香が漂うちょっと陰のある美青年となれば

周りの女人が放っておかないのですが、本人はいたって厭世家。

いつも愁いを帯びた瞳で世を儚んでいます。

 

光源氏が主人公の本編が「光と陽」とすれば、薫が主人公の宇治十帖は「影と陰」。

全体に薄墨色の靄が漂っています。

そんな薫の君はカラータイプでいうと

用心深く、デリケートなグレー

世間体を気にして、自分や他人にもストイック、慎重に行動する青

優柔不断でナイーブな水色

で表されるでしょう。

 

自身の出自を知ってからも周りの人間を頼ることなく(簡単に信じていない)

唯一こころを許せる相手が宇治の大君でしたが、

その大君も儚く亡くなってしまい、さらに厭世家になってしまいます・・・

女性に対しても「今日は気分がすぐれません」と言われたら

「じゃあまた今度にします」と強引にアタックしたりしない。

そのあたりが父(正確には養父)の光源氏と大違い(笑)

光源氏なら「今日はダメ」と言われても甘い言葉で口説き落とすでしょう。

薫はどうも新しい環境への適応力に乏しい人物だと思われます。

グレーや水色といった控え目な色が彼の特徴ですね。

 

控え目で行動力に乏しいけれど、いつもいい香りのする男性。

現代ではモテないだろうと言いましたが、

天真爛漫なオトコよりどこか影のある男性はいつの世もモテるということを忘れておりました。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

kotonohaことのは

武田 みはる

HP:https://kotono-ha.com