こんにちは。
【カラータイプⓇ×教養】記事担当の武田みはるです。
このシリーズは日本の伝統色や源氏物語等の古典をカラータイプ視点で書き綴っています。
前回までは光源氏の女人にスポットを当ててきましたが、
今回(17回目)からは男性を取り上げたいと思います。
源氏物語の男性で真っ先に取り上げたいのが、光源氏の腹違いのお兄さん『朱雀帝』(すざくてい)です。
父は桐壺帝、母は押しも押されぬ弘徽殿の女御、
母の父(すなわち祖父)は時の権力者・右大臣。
帝の第一子という文句のつけようのない出生とステイタス。
尚且つ容姿端麗で、歌や踊りなどの風雅に優れ、
何不自由ない将来を約束されたプリンスです。
ここまではよかったのですが、
3歳下に腹違いの弟(光源氏)が生まれて彼の運命が狂います。
朱雀帝は父に代わって帝に就くのですが、
何もかも弟の光源氏にいいところを持っていかれてしまいます。
能力がないなら仕方ないところですが、
彼は英才教育を受けて英知に富んだ帝です。
悲しいかな自分は100%でも、後から生まれた弟が120%だったんですね・・・
実力はあるけれど、もっと実力のある弟の陰にかくれた哀愁のプリンスです。
カラータイプでは『グレー』の点が高い人は「ストレス」を抱えやすいと言われています。
こちらを参照:感情労働とストレスの関係性への考察~カラータイプ理論のストレスチェックを中心に~
この朱雀帝はきっと『グレー』の点が高かったでしょう!
彼は、おとなしくて気配りのできる優しい気性。
「水色」や「ピンク」も持ち合わせている『協調タイプ』の男性だと思われます。
ところが母親の弘徽殿の女御は、キョーレツに高圧的な『黒』気質。
(この母親からどうしてあんなに優しい息子が生まれるの?とツッコみたくなりますが)
弘徽殿の女御は、自分の息子より華やかで、みんなからチヤホヤされる光源氏が死ぬほど嫌いです。
ついに右大臣の父と結託して光源氏を都から追放してしまい、
華のなくなった都は天変地異が起きてしまいます。
もう朱雀帝のストレスはマックス状態です!! 『グレー』満点でしょうね。
もうひとつ、朱雀帝のストレスを増長させるのが女性問題です。
彼には生涯で愛した女性が3人いますが、
3人とも弟に持っていかれてしまいます。
のちに典侍として入内する朧月夜
六条の御息所の娘・秋好むの中宮
一番下の娘・女三宮
女三宮は親ほど年の離れた光源氏の正室として迎え入れられますが、
不義の子を産んで世をはかなみ、出家してしまう。
朧月夜に至っては、寵愛するも晩年まで光源氏と密通が続きます。
若いころから妻にと望んでいた秋好むの中宮は
光源氏の養女として幼い冷泉帝(次期帝)の妻になってしまう。
その時に朱雀帝が贈った和歌がなんともせつなくて、私は個人的に大好きなシーンです。
別れ時に添へし御櫛を 口ごとにて
はるけき仲と 神や諫めし
(伊勢の斎宮にお立ちになる際にお餞別として贈った御櫛を口実に、遠い仲でありなさいと神様がおっしゃっているのでしょう)
こんなにせつなくも、気配りに長けた歌を詠める朱雀帝。
帝という権力をふるえば、手に入れられないものはないはずですが、敢えてしない。
いや、できない性格でしょう。『グレー』と『水色』と『ピンク』の協調さんですから。
協調タイプがトップに立つと、本人はストレスを抱えやすいですね。
決断力のあるブレーンが傍にいると助かるので、朱雀帝は臣下に下った光源氏に支えてほしかったのではないかと思います。ところが、オンナも政治もモテぶりもぜーんぶ弟のほうが一枚上手でした💦
それでも弟と仲良くやっていけるのは、
単に協調タイプというだけでなく、懐のふかーい男なのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
武田 みはる
堺市在住 HP:https://kotono-ha.com