こんにちは。
教養シリーズ担当の武田 みはるです。
源氏物語をカラータイプ視点で説いているこのシリーズ、
24回目は宇治十帖のダブル主役「匂の宮」を取り上げたいと思います。
出典元:あさきゆみみし画集下巻 大和和紀作
前回の「薫」の時も書きましたが、宇治十帖は光源氏が亡くなってからの息子たちの物語です。
主人公の「薫」が出生に秘密を抱えている憂いを帯びた厭世家ですから
宇治という土地の風土と相まって、とにかくジメっと暗いお話です。
そんな鮫肌のようなザラザラじめっとした雰囲気のなかで、
唯一光を放っているのが「匂の宮」(におうのみや)。
彼は光源氏の孫で、時の帝の息子、要するに親王です。
それも皇太子のように次期天皇としての義務がない3番目のお気楽な皇子さま。
光源氏と明石の上との間にできた「明石の姫君」が今上帝に嫁ぎ、沢山子供を産むのですが
3番目の男の子が「匂の宮」と呼ばれています。
なぜならいつも身体中に香を焚きしめているから。
ライバルの「薫」はうまれつき身体から芳香が漂う男の子なんです。
なんでも負けず嫌いの皇子さんは薫に負けじと全身に香を焚きしめた衣を着るので
みんなから「匂の宮」と呼ばれるようになったのです。
「薫」も美青年ですが、「匂の宮」もどちらが菖蒲か杜若かと言われるくらい絶世の美青年です。
まあ、光源氏の血を引いているので華やかさと美しさは兼ね備えているでしょう。
この「匂の宮」はとにかく負けず嫌いの奔放な性格。
「薫」が宇治の田舎に学びに行っていると聞けば、「年寄みたいで辛気臭いなー」と言いつつ、
あの薫が通い詰めるのだからなにかいいことなんじゃないかと興味津々で宇治にやってくる。
薫が宇治の姫君を囲っていると噂を聞きつけると、薫よりも先に美女を手に入れようと忍び込む。
とにかく薫に負けたくない!
自分の思い通りにやりたい!
さすがに母(明石の中宮)から遊び惚けるなと厳重注意を受けてしまいます。
帝の皇子という立場を考えなさい!!とお灸をすえられてしまうのです。当然と言えば当然。
しかし、匂の宮は凹みません。
女性を惹きつけるテクニックにかけては当代一です。←さすが光源氏の孫(笑)
地位と財力を使って宇治の姫(中の君)を強引に自分のものにしてしまいます。
ところがいざ自分のものになると、他に興味が移ってしまう移り気で自由奔放なお坊ちゃん気質。
しかし、気に入ったものや人はとても大切にする一面も持ち合わせています。
薫の若くして達観した冷めた性格が「陰」とすれば、匂の宮は明るく奔放な「陽」。
対照的な二人がダブル主演というのはドラマのあるあるパターンですが、
1200年前の源氏物語にすでに用いられていたんですね。
匂の宮の人柄を色で表すと、
明るく陽気で奔放なオレンジ
自由でわがままな黄色
自分が一番でないと気が済まない負けん気の強い赤
本当に暖色系のオトコです!
周りは振り回されるのですが、なぜか憎めない性格。
こういうオトコのひと、周りにいませんか?
赤ばかりですと目立ちたがりの熱いオトコですが、
オレンジや黄色といった楽しく和気あいあいとした色が入っている所以でしょう。
女の噂が絶えないというところもオレンジ気質ですね(笑)
なにかと薫と対照的な匂の宮。
お互いがお互いの長所と短所を引き立てている絶妙な関係です。
よく源氏物語の登場人物で「彼氏にするなら誰?」「夫にするなら誰?」と言い合ったりしますが・・・
匂の宮と結婚したら超玉の輿ですが、さてみなさんはいかがでしょうか?
最後までお読みいただき、ありがとうございます💛
【カラータイプⓇ×教養】記事は、日本の古典をカラータイプ視点で説いたもので、毎月25日配信です。
色とことばで人生を豊かにする
kotonoha代表
武田 みはる